2013年度第3回 英検1級問題分析&攻略法

2014年1月英検問題分析と攻略法
 今回の英検1級問題は、語彙セクションが通常よりやや難しく、読解はやや簡単で、ライティングは取り組みやすく、リスニングが通常どおりのレベルであったので、合格点は通常どおりの78点前後であるかと思われます。そこで英検1級合格するには、スコア面での作戦が必要です。
語彙問題では、合格ラインとしての条件に5割正解の13点、6割正解の15点、7割正解の18点、8割正解の20点、9割正解の23点の5つのケースが考えられます。読解問題では、空所補充3問正解の3点+内容一致約6問正解、6割正解の15-16点を1番底として、空所補充4点+内容一致7問正解、7割の18点、8割の21点、空所補充5問正解+内容一致9問正解、9割の23点の4つのケース。ライティングでは1番下が16点から、18点、20点、22点、24点、26点の6つのケース、リスニングでは1番下の17点から20点、24点、27点、31点の5つのケースが考えられます。合格点を78点とすると、次のように語彙かリスニングが非常に強いと、それ以外今一でもパスできることがわかります。

独学者に多いバランス型:語彙が弱くて6割の15点、読解はまあまあ強くて8割の20点、エッセイは今一の
6.5割で18点、リスニングは25点で合格(しかし、不安定なので、このタイプは語
彙をあと3点上げておくのがベター)

ボキャビルが得意型:語彙が強くて9割の23点、読解は普通の7割の18点、エッセイは少し悪めの19点、リスニングは超苦手の18点で合格(しかし、不安定なので、このタイプは、難問特訓(40~50問)によって比較的速く伸びる(4点UP)リアルライフを強化すべし。アクエアリーズでは4月よりオリジナル問題で特訓開始)

リスニング得意帰国型:語彙が異常に弱く超苦手の9点、読解は普通の7割の18点、エッセイは普通の20点、
リスニングは超得意の31点で合格(しかし、不安定なので、このタイプが必ず合格す
るには、ピクチャーとコロケーションと類語例文など、様々なアクエアリーズのボキャ
ビル法で語彙を強化すべし)

 なお優秀賞を目指す人は、語彙で23点以上、読解で24点以上、ライティングで24点以上、リスニングで29点以上を取って、総合得点で100点以上ゲットしましょう。英検1級突破専門校、アクエアリーズでは今まで何十名もの人が優秀賞をゲットしていますが、英検のスコアにおけるホップ、ステップ、ジャンプは60点→80点→100点です。自分の英語力を伸ばしたい人は、合否にこだわらずに、余力を持って「優秀賞」を目指しましょう。

語彙問題分析と攻略法
英検1級に出題される単語は3つのレベルに分けることができ、今回出題された語彙を、当アクエアリーズ出版の「英検1級対策ボキャビルテキスト」と、過去問題25年に基づく「英検1級・準1級頻度別語彙リスト&時事英語」で調べると、18問の86%のカバー率でしたが、カバーできなかった3語の1つは英検2級語彙です。語彙問題のレベルを語彙水準別に見てみると次のようになります。また、1万語水準以下と以上に二分すると、
その比率は、2対1となり、1級語彙問題の平均レベル9千語水準よりやや難しめであることがわかります。

レベル1 5000~8000語水準(基礎語彙) 主に準1級レベル・・・4個出題(28%)
allegedly(初・準1級語彙Top200), gregarious(2回・準1級語彙Top800), typify(2回・準1級語彙Top400)
contrived(4回・準1級語彙Top700), crackdown(初・時事英語), admonish(7回・準1級語彙Top700),
stagnate(初・準1級語彙Top800),

レベル2 8000~12000語水準(必須語彙) 主に1級レベル・・・4個出題(36%)
mundane(4回・1級語彙Top200), connoisseur(初・時事英語), unrelenting(3回・1級語彙Top200),
protocol(初・準1級語彙Top1000), appraise(初・時事英語), placate(6回・1級語彙Top100), enmity(2回・
1級語彙Top800), cinch(3回・1級口語) , fruition(2回・1級時事英語表現)

レベル3 12000語以上(完成語彙) 米国の大学院入試(GRE)レベル・・・5個出題(16%)
gall(2回・1級語彙), nudge(3回・1級語彙Top900), bane(初・時事英語) , cavalier(初・タイム語彙)

※1 英単語の後にある( 回)の表示は、過去25年間の英検準1級語彙問題に選択肢として出題された回数。
※2 1級語彙Top・準1級語彙Topの表示は当アクエアリーズ校の準1級・1級で覚えるべき1000の単語
を若い順番のTop100から最後のTop1000まで、100語ずつ10段階に分けた単語のレベル。

・admonish(7回・準1級語彙Top700) admonishは過去に問題の選択肢として7回も出題された高頻出の単語。
例 admonish a student for being late for class(遅刻した生徒を叱る)
・bane(初・ナシ) bane は「悩みの種、破滅のもと[命取り]」という意味の、タイムなどの洋雑誌によく用いられるような文学語彙。   例 Gambling is the bane of his life.(賭博が彼の破滅のもととなった)
・typify(2回・準1級語彙Top400) typifyはtypicalと同様にtypeの派生語である。
例 inventions that typify the 20 century(20世紀を代表する発明品)
・enmity(2回・1級語彙Top800) enmityは、enemy(敵)の意味に相当するラテン語に由来する単語で、
「憎悪・憎しみ」の意味で類推できる。例 harbor enmity against ~(~に敵意を抱く)
・cinch(3回・1級補足語彙) cinchは「朝飯前・たやすいこと」という意味の口語表現で、クラスの語彙テストや口語の解説でカバー。
・idly(初・英検2級語彙) idlyはidleの派生語で「怠けた、仕事をしていない」という意味の英検2級語彙。 文脈読み取り問題    例 idle fellow(怠け者)
・cavalier(初・ナシ) cavalierはchivalry(騎士道)の同類語で、名詞では「騎士」、問題の形容詞の意味では「横柄な・傲慢な」という意味。例 take a cavalier attitude to the problem(問題に対して傲慢な態度を取る)。他の語彙がそれほど難しくなく、クラスでもカバー。
・fruition(2回・1級補足語彙) fruitionはcome to fruition(実現する), bring ~ to fruition(~を実現する)という熟語の形で用いられることが多い。時事英語表現で、fruit(成果)で類推できる。

また、句動詞では、アクエアリーズ出版の「句動詞1000」のテキストにおける解答のカバー率は4問中4問の100%でした。さらに、「1級句動詞頻度別リストTop 200」では、boil down to, root out, tamper withの3つをカバーしています。

語彙問題は、NC(no-context型でコロケーションだけで解ける問題)、SC(semi-context型でコロケーションと空所の数語の文脈で解ける問題)、FC(full-context型でほとんど全文を読まないと解けない問題)の3つに分かれますが、英検1級の語彙問題の場合、意味・用法・コロケーションの限られたハイレベルな語彙が多いので、運用語彙の豊富な人なら、ほとんど文脈なしでコロケーションで解けるNC、SCタイプの問題の割合が高くなります。
特に、英検1級の語彙問題の選択肢はコロケーション(語と語の自然な組み合わせ)を利用すれば簡単に解くことができますので、それを交えながら解説していきましょう。

1番は、chores(日常の仕事)より、mundane(平凡な)とのコロケーションで解ける「3秒問題」。
「平凡な・ありふれた」の類語グループを覚えるために作った、「驚異の音読例文(太字は類語)」を何度も音読してマスターしましょう。
The mediocre party offered insipid food and a lackluster performance with stale jokes containing trite and hackneyed phrases about the mundane realities of life.
(その平凡でありきたりのパーティーはまずい食事を出し、人生のごくありふれた現実に関しての、使い古されて陳腐な言い回しを含む冴えないジョークを用いた冴えないパフォーマンスを行った。)

2番は、The host of a popular TV program was arrested last night(有名なテレビ番組の司会者が昨夜逮捕された)の1文目の流れから、allegedly(伝えられることによると= reportedly)[準1級語彙]、punched a tax driver((その有名人は)タクシー運転手を殴った)と文脈でも解けるが、コロケーションでも3秒で解くことができる。 allegedlyはニュース・新聞で常用される超常識の時事英語語彙である。

3番は、the sales director for failing to train his staff properly(スタッフを適切に訓練していないことで営業部長を)から、admonish(叱る = warn and advice)[7000語レベルの準1級語彙]という単語が当てはまる。admonish someone for ~( (人)を~で叱る)]という常用されるフレーズの型からでも解答を選ぶことが可能な「5秒問題」。
「非難する・叱る」の類語グループを覚えるために作った、「驚異の音読例文(太字は類語)」を何度も音読してマスターしましょう。
The supervisor disparaged the worker’s drinking habit and admonished him to mend his way instead
of rebuking him for his poor sales performance and reprimanding him for his low productivity.
(上司は、その労働者の販売実績の不振をとがめて生産性の低さを叱責するのではなく、彼の酒癖を非難して行いを改めるように勧告した。)

4番は、had no trouble making new friends(友達作りに苦労しない)から、Paulがgregarious(社交的な)[7000語レベルの準1級語彙]だとわかる、文脈で解く問題。

5番は、it(=his house) has nearly doubled in value(彼の家の価値がほぼ倍になった)などから、had his house appraised(彼の家を査定させた = evaluate)[時事英語語彙]と文脈で解けるが、語彙が豊富ならhouseのコロケーションで3秒で解ける。

6番は、crowded rush hours trainsから、the bane of Tim’s life(ティムの悩みの種 = big trouble, social ills)[時事英語語彙、TIME語彙]だとわかるので文脈で解けるが、他の選択肢も即座にその意味・コロケーションが言えるほど語彙が豊富なら、lifeとのコロケーションで3秒で解ける。他の単語も難しくrompは「跳ね回る」、pigmentは「絵の具」、apertureは「(カメラの)開口部、(レンズの)口径」。

7番は、the complicated case of fraud(複雑な詐欺事件)の主語とthe new computer-related crimes ~(新しいコンピュータ関連の犯罪)の目的語をつなぐために、typify(~の典型[代表例]となる)[準1級語彙]を選ぶ必要のある、文脈で解ける問題であるが、語彙が豊富ならコロケーションで3秒で解ける。

8番は、Critics were unimpressed with the new movie.(批評家は新しい映画に感銘しなかった)から、call the
character hollow and the plot contrived(登場人物に中身がなく、プロットが不自然だとみなす = artificial, unnatural, far-fetched, cooked-up)とわかる、ネガティブな文脈で解く問題。

9番は、asked me to loan him another $100, even though he owes me $200.(彼に200ドル貸しているのに、(彼が)もう100ドル借りたいと頼んだこと)から、have a lot of gall((彼は)厚かましい= nerve, boldness, effrontery)[完成レベル]とわかる、文脈で解く問題。

10番は、decided to look for a different job that would be more stimulating(もっと刺激になるような、違う職を探すことに決めた)などから、his lifeはwas stagnating(停滞していた = enactive, sluggish)[7000語レベルの準1級語彙]とわかり、文脈で解けるが、他の選択肢の意味・コロケーションが言えるほど語彙が豊富であれば、lifeとのコロケーションで迷わず3秒で解ける。

11番は、was asked to be a judge (審査員を頼まれた)から、Janiceがa connoisseur of modern art(現代美術の鑑定家)[時事英語語彙]とわかり、文脈で解けるが、他の選択肢の意味・コロケーションが言えるほど語彙が豊富であれば、artとのコロケーションで迷わず3秒で解ける。wine connoisseur(ワインの目利き)は、 a discriminating taste of wine(ワインの舌が肥えている[ワインの違いがわかる]を持つで覚えよう。

12番は、Even after the war between the neighboring countries came to an end,(隣国同士の戦争が終結した後でさえも)から、多数の年月がかかったのは、to overcome their enmity(憎しみを乗り越えること)とto normalize relation(関係を正常化すること)である。文脈で解けるが、他の選択肢の意味・コロケーションが言えるほど語彙が豊富であれば、overcomeとのコロケーションで迷わず3秒で解ける。

13番は、The noise from the airplanes(飛行機の音)から、unrelenting noise(容赦のないうるさい[和らぐことのない]音)[10000語レベルの必須語彙]だとわかる、コロケーションで解ける「3秒問題」。
「容赦しない・非情な」の類語グループを覚えるために作った、「驚異の音読例文(太字は類語)」を何度も音読してマスターしましょう。
In the relentless persecution of dissidents, the ruthless dictator committed atrocious acts of brutality with
a callous, inhumane disregard for human life.(反体制派への情け容赦のない迫害において、その無情な独裁者は、冷淡で非人道的な人命軽視と伴い凶悪な残虐行為を行った。)

14番は、the employee went into the president’s office without an appointment(従業員がアポなしに社長室に入った)などから、ignoring company protocol(会社の規約を無視して)とわかる、文脈で解ける問題。

15番は、((サッカーの試合で)We won 5 to 0.(5対0で勝った)ということから、cinch((試合は)朝飯前[たやすい] = a piece of cake, a breeze)とわかる、文脈で解ける問題。

16番は、on crimeからcity government’s crackdown(市政の取り締まり)[準1級語彙]とわかる、コロケーションで解ける「3秒問題」。

17番は、while people in other countries are starving.(他国の人々が飢えているのに)から、developed nations
は、should not stand idly by(何もせずに傍観すべきでない)[2級語彙]とわかる、文脈で解く問題だが、文脈がなくても常用フレーズのstand by(傍観する)の意味を取れれば「3秒問題」。

18番は、hasn’t submit its budget report yet.(予算案報告書を提出していない)やWe can’t afford to wait much longer.などから、give them a nudge(肘でつつくことで督促する)[15000語レベルの完成語彙]とわかる、文脈で解ける問題。

19番は、 I can’t believe Dave has taken the afternoon off when he’s got an important deadline tomorrow.(デ
ーブが明日重要な締め切りがあるのに午後から休暇を取っているなんて信じられない)から、have a cavalier attitude toward his job.((彼は)自分の仕事に対して傲慢な態度を取る)[超完成語彙、TIME語彙]とわかる、文脈で解ける問題。

20番は、his boyhood dream of flying airplanes(飛行機に乗る少年時代の夢)から、has come to fruition(実現した = bear bruits, pay off)[時事英語語彙]とわかり、文脈で解けるが、語彙豊富であればcome to~のコロケーションで3秒で解ける。

21番は、residents protested against the proposed amusement park.(住民は提案されたアミューズメントパークに反対した)とby claiming developers would provide jobs for local people.(開発者は地元の人に仕事を提供すると主張することによって)から、tried to placate residents((開発者)は住人をなだめようとする)とわかる、文脈で解ける問題。

22番は、Aの”The service agreement for our new computer is so difficult to understand, ”(新しいコンピュータのサービス契約書の理解が非常に難しい)というセリフを受けて、Bがその簡単な説明をしていることから、”what it boils down to is ~”(とどのつまり[詰まるところは]~)とわかる、文脈で解く問題。

23番は、corruption(汚職) から wipe out(撲滅する = root out, snuff out)とコロケーションで解ける「3秒問題」。
24番は、Jay though he would fail his Spanish test.(ジェイはスペイン語のテストに落ちたと思っていた)と
If he had gotten one point less, he would have failed.(もし1点少なかったら、落ちていただろう)などから、squeaked by((彼は試験に)辛うじて通った = get by, scrape by)とわかる、文脈で解ける問題だが、句動詞の知識が豊富であれば、1,3は目的語を取り、3はheには合わないとわかるので3秒で解ける。

25番は、the locks(錠前)から、tampered with(いじっていた = fiddle with, tinker with)とコロケーションで解ける「3秒問題」。

 さて皆さんいかがでしたか。語彙レベルが12-13点ぐらいの人が、20点レベルになるには、半年間、要領よ
くインテンシブにボキャビルするか、3年間以上かけてこつこつ伸び伸びと語彙力をUPしていくかでしょうが、
前者は試験合格後にすぐ忘れてしまいそうなので、真に実力を身につけたいのであれば、その中間がいいでしょ
う。それでは皆さん、明日に向かってボキャビルの道を
            Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る!)

読解問題分析と攻略法
 皆さんお元気ですか、Ichay Uedaです。今回の読解問題は、どのパッセージも読みやすく、特に内容一致問題はいつもより取り組みやすかったのではないかと思います。準1級の読解問題が非常に「軽い」とすると、1級は「やや厄介」な問題が何問か含まれています。今回の穴埋め問題では28番と29番がやや難で、31番が非常にtrickyな選択肢で、読解の苦手な人で3点、まあまあできる人なら5点は取れるでしょう。内容一致問題は、37番と40番を間違えた人が多いようですが、何とか2問間違いまでに食い止めて、総合得点で19点はゲットしてほしいものです。そして、語彙と読解で40点取れれば、ほぼ合格したも同然でしょう。それでは問題を見て行きましょう。

Religion and Education
(26) (易しいレベル)で、一瞬で解ける問題。
as a country gets richer, the number of people who define themselves as “religious” becomes smaller.(国が裕福になると,自らを宗教的とみなす人々の数が少なくなる)という一般的な宗教的態度に関して、 thoughの逆説を伴ったone country(一つの国、後文でアメリカを指すとわかるが)が、これに当てはまらないと容易に推測できることから、1番が正解。単純に考えれば答えは選びやすいが、次文のイギリスと日本などの・・・といった細部を細かく読むと森に迷う問題である。

(27) (易しいレベル)で、パラグラフを速読すれば一瞬で解ける問題。
科学専攻の学生の宗教態度が、以前より宗教の重要性をあまり感じなくなったネガティブな態度と教会礼拝により通うようになったポジティブな態度の両方を持つようになったことから3番が正解。

(28) (やや難レベル)で、1と2の選択に迷った人がいるかもしれないが、1のrequire~はどこにも書かれていないので2を選んで欲しいところ。
students in the humanities and social sciences(文系と理系の生徒)がdifferent academic majors(異なる大学専攻)言い換えである。そして解答部分となるmany fields within the humanities and social sciences, such as literary criticism and anthropology, have been heavily influenced by postmodernism(文芸批評や人類学といったような(今日の)多くの文系や理系の分野は、(絶対的な道徳真理の考えを懐疑することで特徴づけられる)ポストモダニズムによって深く影響されていることから、これを2番のapproach learning from different perspectives(学問を異なる観点からアプローチする)の言い換えとして見破らなければならないやや難問である。

A Voice from the Past
(29)(やや難)で、4番を選んだ人が多いようだが、速読すれば4は書かれていないことに気づくであろう。
2008年の学会で再生されることになった、1860年のフランス人のScott氏が歌った10秒間の民謡の”Au Clair de la Lune”の歌声は、録音し再生できる機械が発明されるまでまる17年前に作られたものだったが,ironically(意外なことに、予想外なことに)、1番のplayed back at all(完全に再生される)か4番のuseful for future generation(将来の世代に役立つ)で迷う問題だが、4番の内容は本文に書かれていないことから1番が正解。

(30) 語彙力があり、disdainとmisnomerがわかれば瞬時に溶ける、(普通レベル)の問題
蓄音機の前原型となる“phonautograms”と名付けた装置を発明したScott氏は、多くの科学者に研究できるように販売したものの、この原理を生かしてエジソンが発明した”phonograph(蓄音機)”をdisdain(軽蔑する)し、さらにエジソンの”phonograph(蓄音機)”という名前をmisnomer(間違った呼び名)と批判したことから、エジソンの発明は音の再生法のmisguide goal(見誤った目標)であるとする、2番が正解。

(31) (難レベル)で、4を選んで人が非常に多いtrickyな問題
3番と4番で迷うが、4番が誤答を誘うdistracterであるのは、本文を読んでいくと、改良したという流れが読み取れるからで、現在の研究者が1860年のScott氏の音を再生するために、 現在の技術を飛躍的に改良した(improved greatly upon existing (techniques)のではなく、現在の技術で改良したのである。

 内容一致問題の豪速での解き方は、まず解答探しパターンを知ることで、速読家なら大問1題(3問)を3分で解けます。英語のプロ・達人を目指す人は、ホップ9分→ステップ6分→ジャンプ3分とトレーニングして行ってほしい。ほとんどの場合、英文が3パラフラフの場合は、1番の問題の解答は、第1段落の終わりに、2番の解答は、第2段落の終わりに、3番の解答は第3段落の終わりにあります。4パラグラフの場合は、1番の解答は第2段落の初めか第1段落の終わりに、2番の解答は第3段落に、3番の解答は第4段落にあります。また、最後の長文は、第1番は第2コラムに、第2番は第3コラムの終わりから第4コラムの初めに、第3番は第5コラムに、第4番は第6コラムに答えがあります。ですから、まず問題を読んで記憶し、忘れないうちに段落を速読して答えを探せば、1問を1分で解けないことはありません。

The Hubble Space Telescope(背景知識があればほとんど読まなくても解ける簡単な問題です。この問題や最後の自閉症も、最近の著書「英語で説明する科学技術(語研)」でカバーしているので、理系の素養のない人は、是非読んで背景知識を身につけてほしい。)

(32) (易しいレベル)で、簡単なパラフレーズで瞬時に解ける。
問題文のNASA’s reputationに注意して、本文の解答箇所を探しに行く設問である。第1段落の下から4行目以降が解答の書かれている場所で、本文のthe mirror had a tiny manufacturing flaw.の言い換えが、4番のthe NASA had let a small but serious error、そしてNASA was still reeling from the tragic explosion of the space shuttle Challenger in 1986.の言い換えがreinforced the image of the agency that had began to form after the Challenger accidentであることから4番が正解。

(33) (易しいレベル)で、コスト削減と、eye-catchingの言い換えが見抜ければ瞬時に解ける。
問題文のdouble bindに注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題である。第2段落の下から3行目以降のTo attract support from scientists and the general public, NASA needed to undertake ye-catching, ambitious projectsの言い換えが、4番のNASA’s need to fulfill public expectations by carrying out appealing projectsで、NASA was obliged to expend as little as possible in doing so, and the more costs were cut, the greater the likelihood of failure.の言い換えが、while limiting spending enough to maintain its political supportであることから4番が正解。

(34) (易しいレベル)の言い換えで瞬時に解ける。
問題文のthe root of the problems with the new telescopeに注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題で
ある。第3段落の上から8行目以降より解答が言及されており、特に11行目の an expectation among NASA
personnel that projects that fail to meet cost and schedule goals will receive additional fundingの言い換
えが、2番のa belief among the developers that their inability to control costs and timeで、that
subsequent scientific and technological success will overshadow any budgetary and schedule problems.
の言い換えが、will be overlooked if the telescope proves to be successfulであることがから、2番が正解。

Ivan Illich and Deschooling (読んでいて面白い記事で話の筋が記憶に残りやすいであろう)

(35) (易しいレベル)でindependent thinkingの言い換えが見抜ければすぐに解ける
問題文のIllich氏が言及する既存の教育機関の影響(one consequence of existing educational institutions)
に注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題である。第2段落前半の内容のschools essentially control and
restrict knowledge, they stifle creativity and inhibit the capacity for problem solving and free thoughtを
サマリーした1番が正解。

(36) (普通レベル)の問題で、abstract ideasは行間を読まないといけないが、その他の言い換えはクリア
問題文のIllich氏の提唱に対する批判(a common criticism Illich’ proposal for an alterative system of
learning)に注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題である。第3段落の前半のmany asserted it was the
product of intuition as opposed to research, and they characterized it as both hopelessly short on factual
information and wildly impracticalを言い換えた3番が正解。

(37)(やや難問レベル)の問題で、2番のトリックにはまらないように!
問題文のIllich氏のアイデアの今日の関連性(the relevance of Illich’s idea today)に注意して、本文の解答箇
所を探しにいく問題である。第4段落に書かれており、1980年代までにIllich氏のDeschooling Societyの
アイデアは教育機関の議論上から消え去ったが、 4番のAlthough Illich’s ideas have little direct
influence todayの言い換えで、インターネットの到来(the advent of the Internet)によってIllich氏がほぼ
50年前に描いた”leaning webs”、コンピュータやインターネットを用いて情報の共有や交換をして自分志向
の学習法が実現したが、the development of the Internet has changed learning in the direction that he
proposed.という内容を言い換えた4番が正解で、正解のように思わせる2番のdistracterには注意
が必要。

Society, Autism Spectrum Disorders
(38) (易しいレベル)で、最重要「因果関係言い換えパターン」attribute ~to~が見抜ければ瞬時に解ける!
問題文のASDの症例の増加数(the increase in the number of ASD cases)の原因に注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題である。第3段落の下から5行目以降のexperts attribute it to the fact that ASD is simply being identified more often than in the past, thanks to more-aggressive screening and greater public awareness of the disorders.の言い換えの4番が正解。

(39) (普通レベル)で、少し行間を読む必要のある問題
問題文の ASDの早期診断が重要な理由(one reason why early diagnosis of ASD is important)に注意して、
本文の解答箇所を探しに行く問題である。第5段落の前半のIf therapy begins at an age when the development of a child’s brain circuitry is still incomplete, better comprehension and social skills can be acquired.の行間を読めば2番が正解だとわかる。

(40)(やや難レベル)で、chemistryが「人間関係の相性」を表し、interactionが「人間関係」を意味することが分かれば瞬時に解ける問題。
問題文のASDの人についてThorkil Sonne氏が思うこと(one thing Thorkil Sonne believes about people with ASD)の原因に注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題である。第7 段落の後半のa job interview is about chemistry and people [with ASD] flunk within the first few minutes.を言い換えた3番が正解。本文のchemistry(人間関係の相性)と3番のbe passed over(採用を外される)の語彙の知識があれば楽勝。

(41)(普通レベル)で、行間を読む力が少し要求される問題
問題文の Sonn’s “dandelion philosophy”に注意して、本文の解答箇所を探しにいく問題である。第8段落と第9段落になどから、ASDの人はソフトウェアのテスティングやデータ関連産業の特定の仕事に秀でていることが言及され、最終段落で、ASDの人はdandelion[タンポポ]のように(環境によっては)マイナス面とプラス面を持つように見えるが、その両極で判断するべきではないと考えており、特にBy helping those with ASD find environments where their aptitudes are valued, (ASDの人の適正が価値づけられるような環境を見つける手助けができれば)が4番のas the characteristics that set people with ASD apart from others come to be perceived as being beneficialの言い換えで、companies like Specialisterne are fundamentally changing society’s perspective on the disorders.(Specialisterneのような会社はASDの病気に対する社会の見方を根本に変えつつある)を they will gain greater acceptanceと言い換えた4番が正解。

さて皆さんいかがでしたか。読解問題は、語彙力・背景知識・推論力の総合力で、どれもなければ10分以上かかっても正解率が低いのに対して、すべて優秀であれば3分で解けてしまうわけです。ですから、それらすべてを強化するように励みましょう。

エッセイライティング問題分析&攻略法
 今回のエッセイライティング問題はとっつきやすく、pro(賛成)かcon(反対)かどちらが書きやすいかがすぐにわかってでしょう。1級のエッセイを書く時には、まず与えられた語句を見て、即座にどちらの方のキーワードであるかを判断する必要があります。この判断を間違うと点数が激減してしまうので、このセクションが特に苦手な人は、私の前著「英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現(ベレ出版):今回のトピックは302ページに掲載」を読んだり、ASCの2次試験対策(頻度順に100トピックカバー)」などで対処できる社会問題のトピックのレパートリーを増やしておく必要があります。ではその見地から今回の問題を見てみましょう。すると各項目とポジティブ対ネガティブの比率は次のようになるでしょう。

Does the mass media have a beneficial effect on society? [ポジネガ度]
□ Advertising 80:20
ポジティブな点 1. Advertising stimulates consumption of goods and services, thus boosting the economy.
Without advertisement, business will greatly suffer.
2. Advertising provides consumers with product information that facilities the choice of
(useful) products and services. Without advertisement, it is very difficult for consumers to
make a choice of products.
3. Advertising contributes greatly to the production of entertainments including movies, TV programs, and athletic events.
このように肯定側は非常に強い(strong case)のに対して、否定側は次のように比較的弱いので、
ポジネガ比率は80対20と言えるでしょう。
ネガティブな点 1. Misleading and exaggerated advertisements will often cause consumers to make a
wrong choice of products.
2. Advertising leads to impulsive buying and overconsumption, making people more materialistic and creating a throwaway society.

□ Education 75:25
ポジティブな点1. The mass media serves educational purposes, providing people with information about what’s happening in the world through news and documentary programs.
2. The mass media including the Internet can greatly facilitate education and research.
このように、世界のニュースや教育番組やe-learningなどがなければ、情報力や知的レベルは
ガタ落ちになってしまうので、肯定側は非常に強いのに対して、否定側も次のようにある程度
説得力があるので、ポジネガ比率は75対25と言ったところでしょうか。
ネガティブな点 1. Harmful contents on the media including violence and pornography will pervert the
minds of children.
2. Trashy and addictive TV programs and Internet contents will seriously undermine the intellectual development of children.

□ Human rights 67:33
ポジティブな点 1. The mass media plays a vital role in promoting the right to freedom of speech and expression by providing a forum for public criticism and comment.
2. The mass media enhances public awareness about social injustice and oppressive government, thus contributing to human rights protection.
とこれもなかなか強いのに対して、否定側は次のようなケースもよくおこるので、67対33と言
ったところでしょうか。
ネガティブな点1. The mass media contributes to the violation of the right to privacy.
2. The mass media contributes to spoken and written defamation(slander and libel).

□ Politics 75:25
The mass media promotes democracy by greatly facilitating political elections.という非常に強いポジティブに対して、 The mass media is often manipulated by politicians.というネガティブで75対25と言ったところでしょうか。

□ Privacy (human rightsのネガティブで述べた内容)

□ Public safety 95:5
Disaster information including flood warnings by the mass media can save hundreds of lives and minimize
property damage.のボジティブに対して、それがよくはずれて人を惑わせる(misleading)でパニックを引き起こ
すケースがネガティブなので、その比率と災害情報の多大な必要性を考慮すれば、95対5と言えるでしょう。

 このように考えて行くと、public safety, advertising, politics, educationは書きやすいということがわかります。

さて皆さんいかがでしたか。英検1級の対策勉強は、英語のスキルをUPするだけでなく、叡智(intelligence and awareness of social problems)を高めることができる素晴らしいものです。英検1級合格を目指して努力されている皆さんは、英語の勉強をしていくうちに英検1級が段々手の届く範囲の目標(reachable goal)になって来ましたでしょうか。それではまたお会いしましょう。 前向き(“think positive”)に明日に向かって英悟の道を
            Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る!)
                   植田一三(Ichay Ueda 今年からSamuraIchy)

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